猫の写真の撮り方|フラッシュ厳禁!室内でもブレずに「奇跡の一枚」を撮る設定術

猫の写真の撮り方|フラッシュ厳禁!室内でもブレずに「奇跡の一枚」を撮る設定術

高橋 健太

この記事を書いた人:高橋 健太

猫専門フォトグラファー / 愛玩動物飼養管理士

「技術よりも愛情」がモットー。猫専門誌の表紙撮影や、初心者向け写真教室で延べ500人以上を指導。「猫にストレスをかけない撮影」を提唱しています。

「あ、今すごく可愛い!」

そう思って急いでカメラを構え、シャッターを切った瞬間。「カシャッ!」という大きな音に驚いて、愛猫が逃げてしまった……。
あとで写真を見返してみると、薄暗い部屋の中で、愛猫の姿はブレブレの幽霊のよう。

「せっかく奮発してミラーレス一眼を買ったのに、スマホの方がマシかも……」

そんなふうに落ち込んでいませんか? でも、安心してください。それはあなたの腕が悪いわけでも、カメラの性能が悪いわけでもありません。ただ、カメラが「猫の撮り方」を知らない設定になっていただけなんです。

実は、プロの猫写真家である僕たちも、特別な魔法を使っているわけではありません。「猫に嫌われないための配慮」と「室内でもブレないための設定」。この2つを知っているだけなんです。

この記事では、難しい専門用語は抜きにして、あなたのカメラを「愛猫専用のプロ機材」に変えるための、一番やさしい設定術をお伝えします。読み終わる頃には、もう二度と、あの一瞬の可愛さを逃すことはなくなりますよ。


なぜ「オート撮影」だと失敗するの?猫撮影の意外な落とし穴

「とりあえずオート(全自動モード)にしておけば間違いない」

カメラを買ったばかりの頃、僕もそう思っていました。風景や止まっている人物を撮るなら、確かにオートは優秀です。しかし、相手は気まぐれで動きの速い「猫」。しかも撮影場所は、カメラにとっては過酷な「薄暗い室内」です。

ここに、オート撮影の大きな落とし穴があります。

カメラのオート機能は、部屋が暗いと判断すると、「光が足りない! 補わなきゃ!」と焦って、勝手にフラッシュを焚こうとします。あるいは、光を長く取り込もうとして、シャッターを切るスピード(シャッタースピード)を極端に遅くしてしまいます。

その結果、予期せぬフラッシュで猫を驚かせてしまったり、シャッタースピードが遅すぎて猫の動きについていけず、ブレた写真を量産してしまうのです。

つまり、猫撮影において「オート」は、親切なようでいて、実は「猫の都合」を全く考えてくれないモードなのです。だからこそ、私たちはカメラ任せにするのをやめて、猫のために少しだけ設定を変えてあげる必要があります。

【最重要】猫の目を守るために。「フラッシュOFF」が絶対のルール

設定の話に入る前に、猫を愛するあなたに、これだけは絶対に守ってほしいルールがあります。
それは、「フラッシュは絶対にOFFにする」ということです。

「暗いから少しだけなら……」と思うかもしれませんが、猫にとってフラッシュは、私たちが想像する以上に有害です。

猫の目が暗闇でもキラリと光るのを見たことがありますか? あれは、網膜の裏にある「タペタム(輝板)」という反射板の働きです。猫はこのタペタムでわずかな光を反射・増幅させることで、人間の数分の一の光量でも物を見ることができます。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 撮影を始める前に、必ずカメラの設定画面で「発光禁止」になっているか確認する癖をつけましょう。

なぜなら、オートモードのままだと、意図せずポップアップ式のフラッシュが「バシッ」と光ってしまう事故が多発するからです。一度でも怖い思いをさせると、猫はカメラを見ただけで逃げるようになってしまいます。まずは「カメラ=怖くないもの」と認識してもらうことが、良い写真への第一歩です。

ここで、フラッシュが猫の目に与える影響とメカニズムを整理しておきましょう。

猫の目とフラッシュの関係(タペタムの構造)

このように、フラッシュの光はタペタムによって増幅され、猫の目に強烈な刺激を与えます。 最悪の場合、けいれん発作や網膜障害の引き金になる可能性も指摘されています。

「可愛く撮りたい」という私たちのエゴで、愛猫の健康を害してしまっては本末転倒ですよね。だからこそ、私たちはフラッシュを使わずに、別の方法で明るさを確保しなければなりません。

暗い室内でもブレない!プロが教える「ISO感度」の魔法

「フラッシュを使わないと、部屋が暗くて写真が真っ黒になるか、ブレてしまうんですが……」

そんな悩みを解決する魔法の機能が、デジタルカメラには必ずついています。それが「ISO感度(イソかんど)」です。

多くの初心者の方が、このISO感度を「よくわからないからオート」にしていますが、実はこれこそが、室内撮影の成否を握る鍵なのです。

ISO感度とシャッタースピードのトレードオフ関係

カメラの中には、光を受け取るセンサーが入っています。ISO感度とは、このセンサーが「どれくらい光に敏感か」を表す数値です。

  • ISO感度が低い(100〜400): 光に鈍感。たくさんの光が必要だが、画質はきれい。
  • ISO感度が高い(1600〜3200以上): 光に敏感。少ない光でも明るく写るが、少しザラザラ(ノイズ)する。

ここで重要なのが、「ISO感度を上げると、シャッタースピードを速くできる」というトレードオフの関係です。
感度を上げてセンサーを敏感にしてあげれば、短い時間(速いシャッタースピード)でも十分な光を取り込めるようになります。つまり、「ISO感度を上げる=ブレなくなる」のです。

ISO感度の違いによる「ブレ」と「画質」の比較

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 室内の猫撮影では、勇気を出してISO感度を「1600」から「3200」まで上げてみてください。

なぜなら、多くの人が「画質が悪くなる(ザラザラする)」ことを恐れてISOを低く設定しがちですが、「最高画質のブレた写真」よりも「多少ザラついていても、可愛い表情がバッチリ写った写真」の方が、写真としての価値はずっと高いからです。僕も昔はノイズを気にしていましたが、今は「ブレるくらいなら上げる!」と割り切っています。最近のカメラは性能が良いので、ISO3200くらいならスマホの画面で見る分には全く気になりませんよ。

今日からできる!「猫ファースト」なカメラ設定3ステップ

理屈がわかったところで、実際にカメラを設定してみましょう。
あなたのミラーレス一眼を手に取って、以下の3つのステップを試してみてください。これだけで、世界が変わります。

猫撮影のためのカメラ設定3ステップ

Step 1: モードダイヤルを「A(Av)」にする

まずは「オート」を卒業して、「絞り優先モード(ニコン・ソニー等はA、キヤノンはAv)」にダイヤルを合わせます。これは「ボケ具合(絞り)」と「ISO感度」を自分で決めれば、あとはカメラが適切なシャッタースピードを決めてくれる、プロも多用する便利なモードです。

Step 2: F値を一番小さくする

ダイヤルを回して、F値(絞り値)の数字を一番小さく(例:F1.8、F2.8、F4.0など)してください。これを「絞りを開放する」と言います。
F値を小さくすると、レンズからたくさんの光が入るようになり、さらに背景がボケて猫が浮き上がるような、プロっぽい写真になります。

Step 3: 「サイレントシャッター」をONにする

これが猫撮影における「秘密兵器」です。メニュー画面から「サイレント撮影」や「電子シャッター」という項目を探してONにしてください。
これで「カシャッ!」という機械音が消えます。音がしなければ、猫はカメラを意識しません。あくびの瞬間や、無防備な寝顔も、驚かせることなく撮り放題になります。

もっと可愛く撮りたい!プロ直伝の「構図」と「光」のテクニック

設定ができたら、あとは撮るだけ! ……ですが、最後にプラスアルファのテクニックをご紹介します。これを知っているだけで、SNSで「いいね!」が倍増するかもしれません。

1. 「ローアングル」で猫の世界にお邪魔する

人間が立ったままの目線で撮ると、どうしても「上から見下ろした写真」になりがちです。
思い切って床に寝転がり、猫と同じ目の高さ(ローアングル)で撮ってみてください。背景が整理され、猫の表情がダイナミックに写ります。猫も「あ、目線が合った」と安心してくれる効果があります。

2. 「キャッチライト」で瞳をキラキラに

猫の目がビー玉のようにキラキラしている写真、憧れますよね。あれは「キャッチライト」と言って、瞳の中に窓や照明の光が映り込んでいる状態です。
昼間なら、レースのカーテン越しの柔らかい光が入る窓際で、猫の顔を窓の方に向けてみてください。黒目が大きくなり、そこに光が入ることで、生き生きとした表情になります。

よくある質問 (FAQ)

ここでは、写真教室で生徒さんからよく聞かれる質問にお答えします。

Q1: スマホでも同じように撮れますか?
A: 基本的な考え方は同じです! 最近のスマホには「プロモード」や「マニュアルモード」があり、ISO感度やシャッタースピードを調整できます。また、露出(明るさ)を少し上げて、フラッシュをOFFにすることを忘れずに。ポートレートモードを使えば背景ボケも再現できますよ。

Q2: 黒猫を飼っているのですが、どうしても黒つぶれしてしまいます。
A: 黒猫ちゃんは難しいですよね。カメラは「黒い塊」を見ると「暗すぎる!」と勘違いして、写真を明るくしすぎて白っぽくしてしまうことがあります。逆に、露出補正を少し「マイナス(-0.3〜-0.7)」にしてあげると、黒い毛並みの艶が引き締まってきれいに写ります。光の当たる窓際で撮るのがベストです。

Q3: 猫が遊んでいて全然じっとしてくれません。
A: 元気なのは良いことですが、撮影は大変ですよね(笑)。激しく動いている時は、シャッタースピードを「1/500秒」以上にしないと止まりません。おすすめは、おもちゃで思いっきり遊んであげて、「遊び疲れてまったりし始めた瞬間」を狙うこと。満足げな表情も撮れて一石二鳥です。


まとめ:技術よりも「愛」が大事。猫との時間を楽しもう

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
最後に、もう一度大切なポイントをおさらいしましょう。

  1. フラッシュは絶対OFF! 愛猫の目を守るのが最優先。
  2. ISO感度を上げる勇気を持つ! ノイズよりも「ブレないこと」が大事。
  3. サイレントシャッターを活用! 音を消して、自然な姿を写す。

この3つさえ守れば、あなたの写真は劇的に変わります。失敗した写真は消せばいいだけです。でも、その瞬間の愛猫の可愛さは、二度と戻ってきません。

「うまく撮らなきゃ」と焦る必要はありません。まずはカメラの設定を変えて、愛猫の隣に寝転がってみてください。そして、ファインダー越しに「可愛いね」と心の中で話しかけながら、シャッターを切ってみてください。

その愛情こそが、どんな高価なレンズにも勝る、最高の一枚を生み出す魔法なんです。
さあ、あなただけの「奇跡の一枚」、ぜひ撮ってみてくださいね!


監修者情報

獣医学的監修:
本記事の「猫の目とフラッシュの影響」に関する記述は、一般的な獣医学的知見に基づき作成されていますが、個体差や健康状態により影響は異なります。目に異常が見られる場合は、速やかに獣医師にご相談ください。

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